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ラオスの安井清子さんから、元難民のモン族の人びとが暮らすシヴィライ村からの便りが届きました。
by laospantao


残された家族 

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 昨年、大黒柱のお父さんをなくした一家。
 イェンポー・ションは、彼らの亡くなったお父さんの名前だ。
 イェンポーには3人の妻がいた。左端に座るマイリー・リーは1番目の妻。そして、2番目の妻は、出産の時に出血多量でお腹の赤ちゃんとともに亡くなった。その後に娶ったのが、3番目の妻、右から2番目のロー・ワンだ。1番目の妻には2人の娘がいるが(二人ともすでに結婚している)、男の子ができなかったために、次々と妻をもらったのだろう。モンの場合、家を継ぐ男の子がいないと、そうする人が現在でも多い。モンは一夫多妻が許されるので、男からすると、間違ったことではないのだ。

 イェンポーより年上の妻、マイリーは、夫が他の女を妻にした時、私に、
「私もあんたみたいに、職業を持って一人で生きていく甲斐性があるんだったら、家を出て一人で生きていくのに。そうできないから、他の女が、夫の妻になって家に入ってきても、我慢するしかないのよ。一人で生きてなんかいけないからね」
と言って泣いたことがある。モンの女性が、村の暮らしの中で、一人で生きて行くというのは、本当に難しいことなのだ。マイリーの長女、ミーは看護士になり、村で最初の職業婦人になったのは、そんな母の姿を見ていたせいもあるのだろうか?
 
 モンの場合、複数の妻でも、同じ家に住むのだから、辛さはなおさらのことだろう。マイリーは、寂しさからか、その後二人の子どもを養子にもらって育てている。ヤァトゥー(右端)と、マイチャ(後列右から4番目)だ。二人ともモン族ではないが、赤ん坊の時からモンの子として育てられた。
 3番目の妻、ロー・ワンには、5人の子ができた。イェンポーは望みの通り、息子にも恵まれたが、子どもたちが一人立ちする前に、逝ってしまった。

 残された家族……子どもたちはまだみんな学校に行っている。上の妻マイリーは、目があまり見えない。下の妻ロー・ワンは、下の子をマイリーに託して、一人で畑仕事をしている。山の斜面で陸稲を植え、家族の食べる米は作っているものの、子どもたちにかかる学費、制服代、生活費……あれこれを、どう捻出したらいいか、途方に暮れている様子であった。まだ嫁に来たての頃は、何も知らないわがまま言い放題の女の子みたいだった彼女が、今、一家を代わりに背負っている。
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 妻同士の確執もあるだろうが、今は二人で協力しないことには、家族を支えられない。村の女性たちは、
「ロー・ワンもえらいわよ。なんだかんだ言っても、今となっては、目のみえない1番目の妻と子どもたちのことも、家族のみんなの生活を背負っているんだから」と言う。

 先日、家をのぞいたら、子どもたちが次々と学校から帰ってきた。
 みんなそろって記念撮影。

 お母さんだけでなく、子どもたちも、みんな一生懸命、刺しゅうを作っている。制服代、学用品、試験にかかるお金……米を作ることで精一杯のお母さんには、とてもねだれない。だから、子どもたちそれぞれが、自分でお金を稼がなくちゃいけないのだ。
 刺しゅうは、こんな家族のことも支えている。

▼ラオス・山のふもとの刺しゅう屋さん(シヴィライ村の刺しゅう)
http://pajhnub.ocnk.net/
by laospantao | 2015-01-15 01:00
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