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ラオスの安井清子さんから、元難民のモン族の人びとが暮らすシヴィライ村からの便りが届きました。
by laospantao


シヴィライ村のお正月

 モンのお正月は、米の収穫が終わった後の、新月の日。ラオスの北部では、11月の新月の日に正月を迎えた地域もあるが、シヴィライ村では、12月の新月の日…今年はちょうど、12月25日クリスマスに、モンのお正月を迎えることとなった。つまり、クリスマスイブが、大みそかの日である。

 24日夕方、村では、お正月を迎える準備が始まっていた。「フ・プリー」というのだが、長老が、家の戸口で、新しい魂を家の中へ呼び込む。家族全員の名前を呼び、みんなの新しい年の幸せと健康を祈って、新たなよい魂を呼びこむのである。魂は戸口に置かれた卵へと呼びこまれ、その卵を食べる。その後には、鶏のスープと炊きたてのご飯を、まず先祖を呼んで食べて頂く「ライ・ダー」をする。家長が、代々の先祖の名前を呼びながら、食事に招くのである。それを終えたら、今度は、村中の家を訪ね回って、ご馳走となる。 今回、私と友人たちは、7軒の家の「ご飯と鶏のスープ」をはしごした。その上、お酒は、ビールがふるまわれて、お腹たぽたぽ・・・

「モンにはお正月しかないんだよ。1年働きづめで働いて、お正月には、うんと食べて楽しく過ごすんだ。だから、たっぷり食べておくれ」

 家の中の壁には、新しい紙が貼られる。これは、家の守り神(紙だが)の「スカ」と呼ばれる、紙であるが、モンの神棚のようなものだ。この「スカ」には鶏が捧げられ、3日3晩、線香を絶やさない・・・・スカは、これからの1年間の家族の健康、幸せ、安全を守ってくれる。

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先祖の名前を呼びながら、ご馳走を捧げる

 開けて、元旦にあたる25日は、みんなが楽しみにしている「スポーツ大会」だ。2年前に、図書館員たちが中心になり、「子どもたちのために開きたい」とやったところ、普段、スポーツなんかしたことのない女の人たち(でも、身体は動かしているので、結構走ったり…できる)の綱引きだの、かけっこだの・・・が、ことのほか楽しかったようで、今年もみんな、大人も子どもも楽しみにしていた。

 風船割り、綱引き、パン食い競争のような、マンパオという果物を食べる競争。ずた袋に入ったかけっこ、卵投げ競争、菓子喰い競争・・・・あれこれ、盛りだくさんである。 大人たちが18人「審判」となって、競技をすすめていく。村のみんなが一堂に会し、思い切り遊び、大声を出し、笑う…

 私たちは先に帰ることになったが、最後には、「女たちのサッカー」も企画されていた。普段は、農作業をしていない時には刺繍にいそしみ、羽目を外したり、遊びまわったりすることのない女性たちが、思い切り綱をひっぱったり、菓子喰い競争で大口あけたり、走りまわって息を切らしながらも、笑い転げている姿を見るのは、嬉しい年の始まりだった。
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つなひきをする男の子たち
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菓子喰い競争で…お菓子をたっぷり食べ、粉を吹いて、中にある針に糸を通し、最後は風船を割れるまでふくらます
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応援をする女の人たち
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晴れ着を着た女の子たち
by laospantao | 2012-01-09 00:00
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