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ラオスの安井清子さんから、元難民のモン族の人びとが暮らすシヴィライ村からの便りが届きました。
by laospantao


骨を折った男の子の話

 先日、シヴィライ村に行った。小学校に用事があって行ったのだが、行ってみたら、学校はお休み。わざわざ3時間もかけて来たのに・・・・と思っていると、ある男の子が骨を折った・・・とみんなが騒いでいる。行ってみると、家の中に運び込まれたワクゥというその少年は、必死に痛みをこらえている。

なんでも、学校も休みだし、友達たちと、市場で売れるナントカという芋を掘りに行ったらしい。そうすると、木の上に蜂の巣が見えた。そこで、少年は木に登ってその蜂の巣をとろうとしたらしい。(ハチミツやら蜂の子やらとれる)ところが、蜂がブゥ~ンブゥ~ンと飛び出してきて、チクチク刺しはじめた。びっくりして手をすべらせて木から落ちてしまった。そして、落ち方が悪かったのか、腕を2か所折ってしまった。

 まったく泣きっ面に蜂・・その上、骨折とは・・・元から情けない顔した男の子なのだが、まったくかわいそうなことだ。
「こりゃ、この辺りの病院じゃダメだよ。ふつうの骨折じゃないし、手術しなくちゃダメだから、ビエンチャンの150ベッド病院(という名の外科病院)に運ばないとダメだろうよ」と村の大人たちが言う。

「親は?」
「遠くの畑に畑仕事に行ってるんだよ。さっきようやく携帯が通じたんだ」
 私とダンナは幸い車で来ているので、「じゃあ、病院までは連れて行くよ。心配しなくていいからね」と、少年に言うと、かすかにうなづいた。

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 あわてて駆け戻ってきた両親と、少年を乗せて、車は再びビエンチャンへ。彼らは鍋から米から持っている。ラオスの病院では病院食などないし、外食するのは高い。みんな鍋釜持参で(前は薪も持って行っていたが、今は薪での調理は禁止なので、電気炊飯器などである)行くのである。

 今、ビエンチャンへの道がすこぶる悪い。前回の雨季で道が壊れてしまったところが多くデコボコなのである。車が穴にはまって大きく揺れるたびに、折れた骨が痛むのだろう、「ウウゥウウ」と痛そうな声を上げる。
「ごめんね、我慢してね」」と言うと、
「ゆっくり行っていいよ」と少年は言った。激痛だろうに、少年は本当によく耐えている。さすがに、山の子は強い。

 さて3時間かけて病院の救急窓口についたのは、もう4時過ぎ。救急についても、担架が来てお任せできるわけではない。一応、傷口の消毒をした後、
「はい、じゃあレントゲン、その代金をまず払ってきて」
と、まずその請求書をもって、窓口に行きレントゲン代を払う。そうすると、レントゲン室まで連れて行ってくれ、レントゲンをとる・・とそんな具合である。注射も薬もすべてお金を払ってからである。

「あぁ、やっぱり2カ所折れてるね」と先生。一本は見事にポキッと折れている。「これは手術をしなくてはだめだ。金属を入れて」と言う。すぐ手術してくれるのかと思ったら、「もう、50人60人も手術待ちの状況だから、来週になるだろうねぇ。とりあえず入院の手続きを取って」と言われる。

 彼の場合、命にかかわるわけではないから、まだいいが、こんな状況であるから、助かる命も助からないこともあるだろう。それでも、こうして病院に来られただけでも幸運である。今回は、私たちが行った時だったら、不幸中の幸いだった。お父さんは、
「本当に、ありがとう。お金はいつか返すから・・・今は全然手持ちがないんだ」と言う。私は、「いいよ、今放っておいたら、腕が一生使えなくなっちゃうけど、治療したら、心配ないんだから」と言う。お母さんは、
「本当に何もお礼するものがなくて。これ、作った刺しゅうだけど」
と刺しゅうした布を私にくれた。お母さんは裸足である。怪我をした息子はゴムぞうりもはいてこなかった。病院に着いてから、お母さんは、息子に自分のぞうりをはかせ、自分は裸足でいる。

 私はその数日後、日本に戻ってしまったので、あとはダンナに任せてきたが、昨日電話で「手術、無事終わったよ」との話だった。
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その日に訪ねた図書館では、大勢の子どもたちが集まり、図書館員のお兄さんジェー・ブーの話す民話に聴き入っていました。
by laospantao | 2012-03-31 00:00
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