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ラオスの安井清子さんから、元難民のモン族の人びとが暮らすシヴィライ村からの便りが届きました。
by laospantao


ジュアの夢

 ジュアが刺しゅうをはじめたのは、いつか知らないが、小さい頃から針を持っていたことは確かだ。末っ子のジュアは、お姉ちゃんや周りのみんなの刺しゅうを見ながら、だんだん上手になっていったに違いない。ジュアは刺しゅうが上手だが、お母さんの方は刺しゅうが下手だった。

「それでも、最近、お母さんの刺しゅう、少し上手になったと思うけど…」と、私がジュアに言うと、「うん。でもね、お手本を見てね、同じ柄じゃなきゃ、上手くいかないみたい」とジュア。
ジュアは、自由自在に自分が思う模様を刺しゅうできる。小さな頃から刺しゅうをしていきたから、いつのまにかそうなったのだ。

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刺しゅうをする小学生の頃のジュア

 ジュアは高校を卒業した後、しばらく村を離れてヴィエンチャンの親戚の家にいた。学校に通い英語を勉強していた。
「私の両親、貧しいでしょう。学費をサポートできないし、だから、自分で出さないといけないの」
 ジュアはアルバイトの傍ら、刺しゅうを作っては私のところに持ってきた。学費の足しにしたいからだ。でも、とうとう英語の勉強をあきらめた。学費が高くて続かなかったし、英語で身をたてるようになるのは大変だからだ。その替わり、洋裁を習いはじめた。裁断して服を作ることができれば、村でもなんとか稼いでいける。ちなみに、シヴィライ村の中にまだ、服を裁断する店はない。ジュアは洋裁の基礎を勉強して、村に戻ってきた。

 先日、ジュアから電話をもらった。
「清子、お願いがあるんだけど…ミシンを買いたいの。ミシンは3万円するの。でも、その半額足りないの。うちは両親とも貧しいから頼ることはできないし…その足りない分のお金を貸してもらえないかしら? 絶対返すわ。でも、刺しゅうで返してもいい?」
と言う。刺しゅうで借金を返す…それはそれでいいように思った。ジュアが何とか、今、自分で技術を身につけて自立しようとしている。なんとか応援したい。

 その数日後、村に行った。ジュアは熱で寝ていた。木陰にハンモックをつるして、寝ている。ジュアに私はこっそりお金を渡した。
「ちゃんとミシン買うのよ。それから、刺しゅうは、いつだっていいからね。お店が少し軌道に乗ってから、少しずつ、作ってくれればいいから」
と私は言った。ジュアはにっこり笑った。

 ジュアの夢が、刺しゅうでかなえられていくだろうか。ゆっくり見守って行きたい。
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点滴をしながら寝ているジュア(2012年8月)


ラオス・シヴィライ村の人びとの刺しゅうはこちらで紹介しています。
http://pajhnub.ocnk.net/
by laospantao | 2012-09-30 00:00
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